ベトナムの人口は9,073万人(世界第13位)で、2020年には1億人に達し、年間成長率は1.2%と予測される。人口の50%以上が25歳以下である。労働意欲の高い若い労働者を有し、識字率も90%を超えたベトナム人は教育水準が高く、IT業界、医薬品業界、金融サービス業などの高いスキルが必要な業界において、地域内の他国よりも競争力のあるコストで活躍することができる。
2020年上半期の労働力人口の失業率は2.26%で、そのうち都市部が3.62%、農村部が1.59%(2019年の失業率は1.99%)であった。
人口は54の民族からなり、そのうち88%がベトナム人(キン族)、残りの12%がタイー族、タイ族、ホア族、クメール族、モン族などの少数民族である。政府は、高質教育システムの整備に優先的に取り組んだ。
ベトナム語が公用語である。現代の書き言葉は、ベトナム語の話し言葉をローマ字で表記したベトナム・アルファベットを使用されている。
第二言語として英語が流行しているが、ベトナムではその他にフランス語、ロシア語、中国語、クメール語、山岳地帯の言語(モン・クメール語、マレー・ポリネシア語)などが、それほど多くないながらも使われている。
過30年間のベトナムの発展は注目されるものがある。1986年からのドイモイ(刷新)時期の下での経済・政治改革は急速な経済成長に拍車をかけ、当時世界最貧国の一つであったベトナムを低中所得国になった。2002年から2018年にかけて、一人当たりのGDPは2.7倍になり、2019年には2,700米ドル以上に達し、4,500万人以上が貧困から脱却した。貧困率は70%以上から6%以下(1日当たり3.2米ドルに相当))へと急激に低下した。ベトナムに残る貧困層の大部分(86%)は少数民族の人々である。
2019年のベトナム経済は、内需と輸出志向型製造に強く支えられ、引き続き底力と回復力を示した。2019年の実質GDPは、2018年と同様に7%成長すると推定され、この地域で最も速い成長率の1つとなった。
世界経済と深く結びついているベトナム経済は、現在進行中のCOVID-19の大流行で大きな打撃を受けたが、目覚ましい回復力を見せている。ベトナムでは、国や地方レベルでの積極的な措置により、発生当初の健康被害は他の国ほど深刻ではなかった。マクロ経済・財政政策は安定しており、2020年上半期のGDP成長率は1.8%と推定され、年間では2.8%に達すると見込まれる。ベトナムは、今年の成長率が危機以前の6〜7%予測よりはるかに低いものの、景気後退を予測しない世界でも数少ない国の一つである。しかし、現在進行中のCOVID-19危機の規模と期間に対する影響を予測することは困難である。家計や企業に対するパンデミックの悪影響を軽減するために打ち出された景気刺激策による歳入減少と歳出増加の結果、公的資金需要が増加することになる。
強いファンダメンタルズと、ベトナムと世界の両方でCOVID-19の流行が相対的に制御されることを前提に、ベトナム経済は2021年に回復する可能性がある。COVID-19では、中期的な景気回復のためにはより強力な改革が必要であるとし、事業環境の改善、デジタル経済の促進、公共投資の効果・効率の向上など、ベトナムがより迅速かつ強力な改革活動を検討すべき重要なプログラムの複数を挙げる。
2020年6月、ベトナム国会は改正投資法と改正企業法も可決し、いずれも2021年1月1日から施行されることになる。
上記の改正法では、企業登録手続きの簡素化、国有企業(SOE)の再定義、家庭的事業を現行法の適用範囲から除外することなどが行われる。
改正投資法では、条件付事業分野・産業、投資優遇措置、支援制度が更新される一方、特定の種類の投資プロジェクトに対する行政認可が削除された。
東南アジアの発祥地に位置するベトナムの恵まれた地理的条件は、地球上で最大の人口集積所(ASEANに日本、中国、韓国、中華台北を加えた20億人以上)の基礎となりうる。
ベトナムは、東南アジア半島の東海岸に位置している、北は中国、西はラオス、カンボジアと国境を接している。本海岸線は、タイランド湾や南シナ海に直接に接近できる。
ベトナムの国土面積は331,114平方キロメートルである。国土の多くは山岳地帯で、平地は約20%に過ぎない。主な地形は、北部が高地と紅河デルタ、南部が中部山岳地帯と低平な沿岸部、メコン河デルタである。ベトナムは3,444kmに及ぶ美しい海岸線を有し、特に海事産業、貿易、観光の発展にとって理想的な条件であり、また将来、世界の海運の中心地として浮上することが期待されている。
ベトナムの首都ハノイは北部に位置し、人口・経済活動ともに最大の都市ホーチミンは南部に位置している。その他の大都市は、ハイフォン、ダナン、フエ、ヴィン、クイニョン、ニャチャン、カントー、ダラットなどである。
山岳地帯、高地、沿岸部など多様な地理的構造は、総合経済区域に適している。
1970年代に海洋石油・ガス開発を開始して以来、ベトナムは原油の純輸出国になり、ガスや石油、石炭の埋蔵量、水力発電などの発電量も容易に提供できるようになった。
ベトナムに存在する鉱物には、鉄鉱石、錫、銅、鉛、亜鉛、ニッケル、マンガン、大理石、チタン、タングステン、ボーキサイト、石墨、マイカ、珪砂、石灰石などがある。
また、ベトナムは世界最大のコショウの輸出国、第2位のコーヒー及び米の輸出国、第3位のカシューナッツなどの輸出国など、世界市場への農産物輸出に重要な役割を担っている。
ベトナムは、1986年のドイモイ以降、経済的・社会的成果を上げ、ASEANやWTOなどの国際機関に参加するまでは、低中所得国であった。この間、投資家は事業環境の面で新たなベトナムに感銘を受けたかもしれない。現在では、ベトナムは、ベトナムで起業する予定のある外国人にとって、魅力的な投資先であり、有望な土地でもある。
ベトナムは、開発のための実績がますます向上している。近年のベトナムの事業環境をイメージしやすいように、以下では、主なポイントをご紹介する。
近年、ベトナムの事業トレンドは、民間企業への注目度が高く、オープン事業環境とともに、海外投資家のベトナム市場への参入を誘致している。また、競争力のある合理的な労働コストにより、ITや製造業の確固たる基盤としての地位も確立している。
グローバル経済への統合を加速させるため、ベトナムは多国間協定及び二国間協定を含む一連の自由貿易協定(FTA)に積極的に参加している。現在、ベトナムは世界の約190カ国と外交関係を構築し、重要な貿易相手国とFTAの約15協定を署名しました。
ベトナムが様々な自由貿易協定に参加したことで、先進国の海外投資家がベトナム市場に参入する強い動機付けとなった。
経済成長率の向上向けのベトナムの重要な取り組みと並行して、法的かつ制度的な枠組みも大きく改善された。
ベトナムの規制制度は、オープンな事業環境、透明性の高い投資政策、企業優遇措置によって高く評価される。
例えば、2014年の企業法と投資法は、ベトナムにおける企業の設立と運営を規定される基本法である。これらの法律により、許可を受けた事業領域で事業を行われる個人の所有権が標準化されたほか、企業にとって広範な行政上の手間が軽減された。
民間部門やFDI部門などは、これらの法律のもと、ベトナムで事業を行う上でより有利な条件を整備された。
ベトナムの事業及び投資環境に関連する規制制度の改善は、国際的な時代のベトナムのランキングに大きく貢献した。世界銀行の「Doing Business 2020」レポートでは、190カ国中70位にランクインした。
ベトナムの国会は最近、投資法及び企業法(改正)を可決し、2021年1月1日に施行されることになった。このような各法のさらなる更新や変更により、ベトナムでの事業活動がより負担の少ないものになり、ベトナムに投資する外国企業にとって有益なものになると期待される。
ベトナムは世界貿易機関(WTO)加盟以前、高いGDP成長率、市場の自由化、法律環境の変革を達成するために継続的に取り組んできた。ベトナムは正式にASEANの一員となり、ASEAN自由貿易地域(AFTA)に参加し、2007年11月1日にWTOの150番目の加盟国となった。
ベトナムは、地域的・国際的な経済統合へのコミットメントにおいて、大きな前進を遂げた。ドイモイの導入後、ベトナムは1995年にEUと経済貿易協力協定を締結し、1995年にASEANに加盟、1996年にCEPT/AFTAに従い、1998年にAPECの一員となった。2000年に米国と二国間貿易協定(BTA)を締結し、その結果、二国間の貿易量が飛躍的に増加した。ベトナムは2007年1月11日に世界貿易機関(WTO)の150番目の加盟国となり、2018年3月8日には他の11カ国とともに、アジア太平洋地域の経済のさらなる自由化を目指し、前例のない多国間自由貿易及び投資協定である環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に正式加盟した。
WTOにおけるベトナムの公約は、WTO加盟国の物品およびサービスの輸出のための市場アクセスを増加させ、貿易活動の透明性を高め、ベトナム企業と外国企業の間でより公平な競争条件を確立することに役立つ。ベトナムは,物品(関税,割当,農業補助金の上限)及びサービス(外国サービス供給業者へのアクセス条件及び関連条件)に関するコミットメントを履行し、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)、貿易に関連する投資措置(TRIMS)、関税評価,貿易の技術的障害、衛生植物検疫措置、輸入許可条件,貿易救済措置及び補助金相殺関税措置、原産地規則に関する協定を履行する必要がある。
現在、ベトナムは172カ国と外交関係を結び、55件の二国間投資協定及び58件の二重課税協定を国・地域と締結した。また、約165の国・地域と経済・貿易関係がある。ベトナムは63の国際機関及び650以上の非政府組織に加盟した。
国際関係における「多国間化・多様化」政策は、ベトナムが世界経済や地域経済により深く総合し、世界中の国々との貿易・投資協力を強化するのに役立った。さらに重要なことは、ベトナムは、近年、ビジネスフレンドリーな環境を改善してきたことである。
政治的・経済的に不安定な国々が残る世界の中で、ベトナムは安定した政府と社会構造の恩恵を受けており、理想的な投資先となった。40年にわたる平和と発展の後、ベトナムはその政治的安定性と一貫性により、多くの国にとって信頼できる投資先の一つとなった。FDI企業にとって、ベトナムへの投資を選択する最も重要な要素の一つは安全保障である。
ベトナムは、共産党書記長、首相、国家主席による一党制の国家である。政策は5年ごとの党大会で決定され、年2回の中央委員会全体会議で調整される。政府やその他の国家機関は、政策の実施に責任を負う。国会は、憲法と法律の可決・改正、国家の重要課題(国内政策、外交政策、社会経済、政治、安全保障、政府機関の業務活動)の決定、国家機関のあらゆる活動の監督を行う権限を有する。
国家主席は国家の元首として、内政・外交においてベトナム社会主義共和国を代表する。政府は、ベトナム社会主義共和国の最高行政機関であり、政治や経済、文化、社会、国防、安全保障、外交のあらゆる活動を執行・管理する。各省庁は、特定の産業や部門における国家権力の執行に責任を負う。人民委員会(省、郡、村)は、その行政区域内の管理事務を行い、地方国家機関の日常活動を管理、指導、運営し、関連する人民評議会と高等国家機関の政策を執行する。
近年、ベトナムは、その安定した政治、持続的な経済成長、豊富な労働力、大きな市場、一人当たりの所得の増加、幅広い国際統合、競争力のあるインセンティブ、さらに東南アジアの中心という地理的条件から、投資家からASEANにおける“将来が明るい国”として認識されている。
ベトナムには、136の国と地域から3,780億米ドル相当の32,000件以上のプロジェクトが寄せられている。世界の国々がまだCOVID-19と戦っている中、ベトナムはすでに事業活動を正常に再開し、サプライチェーンの多様化に早く取り組んだ国の一つとなった。そのため、海外投資家はベトナムをCOVID-19後の潜在的な投資先として考えられている。
2020年2月の日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によるとり、べトナムに進出している日本企業の63%以上が投資を増やす予定であり、ASEANで最も高い割合であることが明らかになった。
外国直接投資(FDI)の誘致は、ベトナムの対外経済活動において常に重要な位置を占めてきた。ベトナムはすでに多くの比較優位性と強力な投資環境を有したが、投資及び事業環境の抜本的な改革により、海外投資家にはさらに魅力的な国になるよう取り組んでいる。さらには、FDI部門は経済の再構築と国家競争力の向上に不可欠な経済の一部であると認識している。
ベトナム政府は、事業及び投資環境の回復に向けた取り組みを続けている。府は、3つの「戦略的ブレークスルー」というアプローチを進めていく。具体的には、(1)市場経済の制度と法的枠組みの整備、(2)高度かつ統合されたインフラの構築、特に交通インフラ、(3)質の高い労働力の育成である。これらの戦略は、2020年までに全て完了させる予定がある。
ベトナムは、FDI 企業の成功を自国の成功として捉えている。そのため、政府は安定した社会政治環境を確保し、投資家の正当な権利と利益を保護し、国内のFDI企業のための良好な環境を整えることに尽力している。
中長期的には、ベトナムは社会経済発展のためにFDIを誘致し、効率的に活用する努力を続けていきる。ベトナムは、先進的かつ環境に優しい技術や天然資源の持続可能な利用を用いたFDIプロジェクトに重点を置き、「質の高い」FDIの流入を目標とする予定である。また、グローバルな生産ネットワークやバリューチェーンの一部となりうる、競争力のある製品を有するプロジェクトもターゲットとする。
あらゆる重要な任務の中で、インフレを抑制しながらマクロ経済の安定を維持することは極めて重要である。本目標を確実に達成するため、政府は全国の国家機関、人民委員会、組織に対し、与えられた任務を高い水準で遂行するよう努めるよう要請した。
また、政府はベトナム国家銀行に対し、ベトナムが合理的な経済成長を実現するため、関連省庁、関連中央支部、地方と密接に連携し、インフレを積極的に抑制しマクロ経済を安定させるための財政・金融政策を打ち出すよう要請した。
特に、ベトナムが「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)」対策を解除し、経済復興に取り組む中、政府は、COVID-19の影響を受けた企業に対し、複数の優遇措置を発表する第84/NQ-CP号議決(第84号議決)を公布した。本議決には、貿易、産業、外国人従業員に関する様々な規制の緩和のほか、特定の手数料の引き下げが含まれる。
1. ユニリーバ・ベトナム社(Unilever Vietnam)は、高品質の消費財を提供し、多くの雇用を創出し、過去20年にわたるベトナムの経済成長に大きく貢献することで、ベトナムで高い評価を築いた。
ユニリーバ・ベトナム社は、緊密かつ相互に有益な関係にあることに大きな誇りを持っている。同社は過去数年にわたり、中小企業(SME)との商業的関係を構築してきた。原材料のサプライヤーから包装資材の製造者、サービスプロバイダーまで、同社のサプライチェーンに協力する地元の中小企業は2,000社近くにのぼった。本サプライチェーンの拡大により、国内では15,000人以上の雇用が創出された。
ユニリーバ・ベトナム社の社長は、ユニリーバ・ベトナムを「ビナレーバー」と明るく名付けた。これは、20年以上にわたるベトナムでの事業活動で培った、強い信念と温かい気持ちが込められており、最も望んでいた名前だと述べた。
2. ハネル・ベトナム社(Hanel Vietnam)は、エレクトロニクス、情報技術、通信、不動産、物流、金融投資、労働力輸出など、様々な分野で事業を展開している。
ハノイ大宇ホテル (Hanoi Daewoo Hotel)は1996年にオープンした、ベトナム・ハノイの有名な5つ星ホテルの一つである。本ホテルのオーナーは、Daewoo E&C Korea Co, Ltd.とハネル・ベトナム社である。特に、韓国グループが70%の資本を保有している。2012年、ハネル・ベトナム社は1億米ドルを投じて本ホテルを買収した。
3. ロッテホテル&リゾート (Lotte Hotel and Resort ):2014年にロッテハノイホテル(Lotte Hotel)を開業した同グループは、アジアを代表するホテルオーナーになることを目指している。
9,200万米ドルのロッテハノイホテルは、ロッテセンターハノイにあり、韓国が以前所有していた大宇ホテル、現在のハノイ大宇ホテルに隣接している。
ベトナムロッテホテル&リゾートのジェネラルディレクター兼ロッテグループ副会長のイ・ジョンユル(Lee Jung Youl)氏は、「ハノイやベトナムが世界市場に統合され、FDI資本の流入も強くなり、外国人観光客やビジネスマンも呼び込んでいる一方で、ベトナムには高級ホテルが不足しているため、ベトナムで高級ホテル、特に5つ星ホテルを開発する時期が来たと考えている」と述べた。
ロッテグループは、ハノイロッテホテルの開業後3年以内に利益を出すことを見込む。
ロッテグループは、ベトナムでのバイアウトの可能性にも視野に入れている。同グループは、ファンド運用会社ビナキャピタル(VinaCapital)から5つ星のレジェンドホテルサイゴン(Legend Hotel Saigon)を買い戻すために6,250万米ドルを支払った。